公開日:2016年11月30日 更新日:2024年01月15日
SUSねじ”以外”にもいろいろあるのです【第6話】
こんにちは。ネジゴンだよ。
第5話「“SUSねじ”にもいろいろあるのです」では、いろいろな特長をもったステンレスねじを解説したね。でも、ねじに使用される金属は鉄やステンレスだけじゃないんだ。それ以外の金属にもおもしろい特長があって、それぞれに役割があるんだ。今日は、そんな特殊な材質のねじをご紹介するよ。
軽量で非磁性、耐蝕性にもすぐれたチタンねじ
チタンといえば、軽量・非磁性・耐蝕性が特長の金属だよ。
比重は約4.5。これは鉄の約60%の値で、とっても軽量なんだ。透磁率(磁束密度の大きさと磁場の強さとの比のことだよ)は1.0001と、とても低く、SUSXM7の透磁率1.4と比較すると、いかに磁性が無いかわかるよね。
さらにステンレスと同様に表面に不動態皮膜を生成するから、耐蝕性にもすぐれているんだけど、ステンレスの不動態皮膜と異なり、塩化物に対しても耐蝕性があるから、海水に対する耐蝕性に特にすぐれていて、薬品に対しても耐性があるんだ。
ちなみに強度は、純チタンの場合、だいたいSUSXM7(強度区分A2-50)と同等だけど、チタン合金は鋼鉄ねじに匹敵する強度を持っているんだ。ねじに主に使用されるチタン合金には、64チタン(Ti-6Al-4V)やβチタン(Ti-15-3-3-3)があるよ。
軽量で耐蝕性があって、高強度という特長から、自転車や自動車・航空機に使用されているよ。また、非磁性の観点から、プラズマを使用する半導体製造装置でも注目されているんだ。
>>チタンの物性、機械的性質、耐薬品性など、まとめ
耐薬品性にすぐれたインコネル*、ハステロイ*

先ほどチタンが薬品に対して耐性があると紹介したけれど、インコネル、ハステロイも耐薬品性にすぐれた金属なんだ。
でも、薬品にもいろいろな種類があって、金属の種類によって耐性が異なるんだ。たとえばインコネルはアンモニアに対して、ほぼ完全な耐性があるよ。ハステロイC-22は次亜塩素酸や二酸化塩素に耐える数少ない金属なんだ。
そのあたりは一覧にまとめてあるから、ぜひ参考にしてね。
>>インコネル、ハステロイ、ニッケルの耐薬品性
>>チタンの耐薬品性
融点は2600℃!!耐熱性にすぐれたモリブデンねじ

モリブデンの融点は、なんと2623℃!!モリブデンねじは1000℃以上でも引張強さが200N/mm2以上ある耐熱性にすぐれた金属なんだ。また、モリブデン以外には、先ほど紹介したインコネルも耐熱性にすぐれた金属のため、周囲温度が高く、薬品を扱う環境ではインコネルねじがおすすめだね。
>>各温度における引張強さ
とっても軽い!アルミねじ

アルミと言えば、やはりその軽さが一番の特長だよ。比重は約2.7で、だいたい鉄の1/3なんだ。
それ以外にも、アルミは電気や熱の伝導性にすぐれているという特長があるけれど、もう一つ重要な特長があるんだ。
それはアルミ合金に対して電蝕が発生しないということなんだ。
電蝕とは、電位差のある金属同士が接触して、その間に水分があると、その部分が電池のようになって腐蝕が進む現象なんだけど、同種の金属は電位が同じだから、当然アルミ同士ならば電蝕が発生しないということになるよね。
では、アルミねじで異種金属を締結したり、逆にステンレスなどの異種金属でアルミ構造物を締結したりできないか?というと、そんなことはないよ。アルマイト処理を施すことで電気絶縁性を付与できるから、電蝕の防止対策になるんだ。
なお、電蝕はアルミに限った現象じゃないから、電位差のある金属同士の接触には注意が必要だよ。
精密機器にいかがですか?熱膨張しにくいスーパーインバー
鉄、ニッケル、コバルトが主成分の金属で、熱膨張係数が0.69×10-6(K-1)と、熱による寸法変化がとても小さい金属なんだ。ちなみにSUS304の熱膨張係数は17.3×10-6(K-1)だよ。
ねじの膨張による微妙な寸法変化を嫌うような測定器や精密機器には、この特長がぴったりだね。また、温度変化が頻繁な装置の場合、ねじが膨張収縮をくり返すことで、ゆるみが発生することがあるんだけど、それを防ぐこともできるよね。
今日はここまでにするけれど、また、おもしろいねじの材質を見つけたら紹介するね。
本日は、これにてご無礼するよ。